アジアのニュース

主に韓国や中国のニュースについて思ったことを書きます!

ニュースを賑わせる韓国の核再配備議論

朝鮮半島のみならず、東アジア関連のニュースと言えば、今や北朝鮮の核・ミサイル問題が話題の中心であり、ここへ来て日本の今後がさらに不透明になりかねない問題が取り沙汰されています。韓国の核配備問題です。少し前、中国との関係悪化を招いた高高度ミサイル防衛システムTHAADの配備によって、東アジア全体に波紋を広げましたが、核配備となると、周辺国の関係悪化というレベルではなくなります。ある意味、北朝鮮が水爆と推定される核兵器を持つレベルにまで到達したことで、38度線を境に北朝鮮と隣接する国が核配備していないというのは、国民にとっては不安この上ない状態と考えられます。
かつて韓国では、中国が核実験を成功させた1964年に、中国からの北朝鮮への核兵器流出を不安視し、自国でも核開発を行うことで、防衛を徹底させようとする動きがありました。実際、1970年代初頭にはプルトニウム生産が可能となる再処理施設をフランスから導入も画策して、交渉を開始していました。ところが、北朝鮮とその背後の国々が持つ核兵器に警戒しつつも当時の米国は、韓国自らが行う核開発には懸念を示し、結果的にそれを諦めさせるに至りました。その後、在韓米軍による戦術核が配備されるようになり、核兵器の削減宣言がなされた1991年9月に、米軍部隊とともに撤退したという過去があります。その折まで、約1000発もの戦術核兵器が配備されていたと言われています。
実は、2016年10月に韓国が戦術核の再配備を要請していたいという話があり、その際は北朝鮮の核開発や大陸間弾道ミサイルICBMの開発スピードをやや甘く見積もっていた米国は慎重な反応を見せ、それ以上話が進まない形となっていました。その後、ニュースなどで伝えられる断片的な情報からも、つい最近まで、米国が北朝鮮の開発スピードをかなり読み誤っており、米軍上層部も政府首脳陣も、先日の6度目の核実験が本当に水爆実験の成功だったらしいことを確認して以降、かなり慌てて韓国への核再配備を検討し始めているといった様子を見せています。これが実現した場合、現状、頭上をミサイルが通過している我が国はどうするのかといった議論が勃発することは、自然な流れになると考えられます。国連本部での、核兵器禁止条約の各国署名締結のニュースも伝えられる中、参加するしないで話題となっていた日本が、禁止どころか核配備の必要性を議論する事態に、歴史の行方を予測することの難しさがより際立つ形となっています。